さて前回のセミナーでは、
日本円が最強である理由を改めてお話ししましたが
ドル崩壊が目に見えて表面化するまでは
平時の為替シナリオを踏襲することになります。
今日発表になる米国雇用統計ですが
8月のその他統計が思いの外伸びなかったことを考えると
かなり渋い数字が出てくる可能性は否定できません。
7月の製造業新規受注、8月の雇用統計が良かったように見えることから
マーケットでは楽観視する向きもあり、株式も為替も平時を続行していますが
7月はボーイングの大量受注、8月は政府による季節雇用の積み増しが大きな原因ですから
別にアメリカ経済が復活したわけではありません。
実際、ダウ平均は8月を境に下げ基調へ転じています。
つまるところ「全体」として経済が良くならなければ、やはり一時しのぎでしかありません。
中国や東南アジアの輸出はアメリカの輸入と大きな相関がありますが
中国、東南アジアともに輸出は減少、アメリカの輸入も絶賛減少中です。
つまるところアメリカの内需が減少していることが
世界経済に与えている影響は非常に大きな影響を及ぼしているわけですね。
ドル円について考えれば、日本の輸出は減っていませんが、アメリカの輸入が減っていること
日本の輸入が増えていることから7月中旬以降、大きく円安が進むことになりました。
貿易と為替の関係については前回のセミナーでお話しした通りです。
重要なのはアメリカの内需がここから先、回復するのかということですが
現在商業銀行が貸し出し基準を上げることで、新規融資を絞っており
米国内から急速にマネーが消えつつあります。
M2統計の推移を見ればどのくらい減少しているのかがわかりますが
過去M2を大幅に減らしたのは1930年の大恐慌の時ですが、
コロナ以降の大盤振る舞いでジャブジャブにしたマネーが、急速に収縮している状態であり
しかもイールドカーブがマイナスに突入しているのですから
融資がすぐすぐ増える見込みもありません。
そのため、アメリカの金融ストラテジストにも
今年から来年にかけての先行きをネガティブというコメントが増えました。
今夜の雇用統計如何ですが、株価に大きなインパクトがあった場合
米国の長期金利が急上昇する可能性もあります。
そして金利差が大きくなれば、急速な円安ドル高が進むことになるでしょう。
目安155円と言われますが、
インパクトが大きく出やすくいますので
一気に160円を目指す動きになってもおかしくありません。
先だってお話しした通り、歴史的に見たドルの役割はもうすぐ終わることになるでしょうから
そのタイミングでマーケットは一旦クラッシュすることは避けられないと思います。
よって中期、おそらく2024年の春ごろまでには大きく円高に戻ることになると思いますが
そのタイミングはひょっとしたらもっと早くなるかもしれません。
ともあれ
1週間程度で一気にシステムが変わるようなことがなければ
短期円安、中期円高というシナリオで動くだろうと考えます。
どちらにせよ、経済システムのクラッシュが今日明日起こるわけでは
ないと思われますので、
私たちには時間的猶予があるということです。
カネがすべてではありませんし
カネですべてが決まるわけでもありませんが
引き続き気を引き締めてまいりましょう。
参考になれば幸いです。
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金融